京都大学と大阪市立大学が共同研究契約を締結 ~ワクチンや治療薬開発、感染実態の把握に期待~
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この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆6/25 日刊工業新聞
? 京都大学(iPS 細胞研究所?医学部附属病院)と大阪市立大学(大学院医学研究科)は、新型コロナウイルス感染症の病態解明から迫る血清疫学研究および医薬品の開発を目的とした共同研究の契約を締結しました。
共同研究の内容
研究項目1:
新型コロナウイルス感染症の病態および血清動態の解明に基づく医薬品開発
新型コロナウイルスの臓器特異性とその反応や宿主-病原体相互作用を明らかにすることで、新型コロナウイルス感染症の真の病態に迫ることのできる研究を実施します。ワクチンや治療薬開発を目指します。
研究項目2:
抗体価測定システムの開発および疫学研究
新型コロナウイルスの新規抗体価測定系を開発し、発症日を起点とした経時的な抗体価の動態や、それに附帯する重症度などの臨床情報などを重ねることで病態解析を進め、新規抗体価測定系の臨床的有用性を評価します。
更には、医療従事者および患者等に対して、抗体検査に合わせて、PCR検査や抗原検査を評価することで検査体制の最適化および拡充により感染実態を把握し、社会が停滞することのないような医療体制の構築を目指します。
背景
世界各国へ流行が拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。未だ、この新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が引き起こす病気の性質や経過は十分に解明されておらず、血清学的診断法さえ確立していません。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)はiPS細胞技術やゲノム編集技術を利用した研究を行っています。また、三井住友フィナンシャルグループから多数のPCR検査機器の寄贈を受ける予定で、これを利用した京都大学医学部附属病院と検査方法の最適化や疫学調査の共同研究を始めていました。
大阪市立大学は、①特異抗体を調べる独自の手法を持つこと、②新型コロナウイルス感染症患者の抗体の経時的変化および血清疫学の豊富な知見を有すること、③新型コロナウイルスに関する様々な評価系を有すること、④大阪市立大学医学部附属病院と大阪市立総合医療センター、十三市民病院、阪和第二病院と連携して新型コロナウイルス感染症患者の診療に従事した豊富な臨床経験を有することなどの優位性を保持しています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するには、さまざまな側面から研究を実施し、これに基づいた診断方法開発、ワクチンや治療薬開発などを目指したさらなる連携が必要です。
今回、新型コロナウイルス感染症の病態を解明し、ワクチンや治療薬の研究開発などを実現させることを目的として、共同研究契約を締結するに至りました。
※京都大学(iPS 細胞研究所?医学部附属病院)、大阪市立大学(大学院医学研究科)、大阪府は2020年6月12日に「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた共同研究、検査体制の充実に係る連携に関する協定」を締結しております。