【女性研究者支援室】折原真子 学術研究支援部長からご寄附をいただきました(2022年3月30日)
折原 真子学術研究支援部長からこのほど、女性研究者表彰制度[岡村賞]にご寄附(100万円)をいただきました。3月30日、宮野道雄?女性研究者支援室長より、感謝状の贈呈を行いました。
大阪市立大学の女性研究者表彰制度[岡村賞]は、優れた研究活動や教育活動を行い意欲的に男女共同参画推進に貢献している女性研究者を顕彰することによって継続的な研究活動を鼓舞し、次世代の優秀な女性研究者の養成を目的に本学の前身である大阪商科大学に昭和22年にはじめての女子学生として入学された岡村 千恵子様のご寄附を原資としたことから[岡村賞]と命名し、2014年から毎年実施しています。
折原部長は、今回、[岡村賞]を4月開学する大阪公立大学でも引き続き発展的に実施するとともに、女性研究者、博士研究員、大学院生の自由な発想での研究活動を支援するためにと、寄附をされました。このたび、宮野道雄先生から折原部長に感謝状が贈呈されました。?
◆女性研究者支援に寄せて
大阪市立大学 学術研究支援部長 折原 真子
大阪市立大学に着任以来5年間、アドミニストレーターの立場で、教育、研究、地域貢献等様々な業務の中でも、とりわけ女性研究者支援にエフォートの多くを割きながら取り組みました。
着任した2017年に、文科省補助事業のダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ【牽引型】に採択されたことも契機でした。この補助事業を通じて、様々な事を学びましたし、思い出に残る仕事も出来ました。
特に、先進的な取り組みを行う海外大学とグローバルネットワークを結ぶために、アメリカウィスコンシン州のウィスコンシン大学マディソン校を、大学を代表して訪問しました。女性研究者支援機関であるWISELI【Women In Science & Engineering Leadership】関係者とジェンダーイシューについて、意見交換するとともに、両大学の工学部との間で部局間協定を締結しました。WISELIに所属する女性研究者は、自身の専門領域を持ちながら、女性研究者の教育研究環境向上のために、女性研究者間の横のネットワークを築いていることがとても印象的でした。
私は、こうした女性研究者支援事業を通じて、日本のアカデミアの世界における女性研究者が置かれている状況は、他の分野と同様に女性活躍の観点で非常に厳しい状況であるという事を改めて知りました。男性の中には、「男性も女性も優秀であれば、黙っていても上位職等に登用されていくのだ」「女性を増やして社会や経済等にとって、何が良くなるのかを説明しないといけない」というような意見があります。私は、そうした考えこそアンコンシャスバイアスだと思っています。「優秀さ」という基準は何なのでしょうか。そこに男性中心のバイアスがかかっていないか等、常に組織に権限を持つ者は意識を研ぎ澄ます必要があると思っています。あらゆる分野や場面で女性を増やしていくことは、それが公正で正しいからであって、学術研究面、経済面、組織の活性化面等含めて、その効果は副次的なものだと思います。
数年前に本学のシンポジウムに招聘した著名な女性起業家、篤志家である久能祐子さんが、「マイノリティがマジョリティの仲間入りをするのは個人の努力で可能だが、マイノリティの価値観をマジョリティに浸透させるためには3割の数が必要」と教えていただきました。様々な観点で、黄金律の3割という考えもあります。新大学もまずは3割の女性教員在籍比率を達成すべくあらゆる施策等を動員してもらいたいと思っています。
そうした施策の一つとして、大阪市立大学では、2014年度から、優れた研究活動や教育活動を行い、意欲的に男女共同参画推進に貢献している女性研究者を顕彰する「岡村賞」という表彰制度があります。大阪市立大学のルーツである大阪商科大学初の女性卒業生の岡村千恵子さんのご寄附から創設された表彰制度です。人や所属する組織等に業績や努力を誉められるという体験は、人間が本質的に持つ欲求を満たし、自己肯定感を高めるという効果があります。私が尊敬する村木厚子さんが、「いくつになっても人は、居場所と出番が必要」と言われています。この表彰制度は女性研究者の大いなる出番だと思っています。また、私は、日本の研究者(や研究者の卵)が置かれている過酷な状況もこの間、垣間見ました。真理の探究、学術的問いの追求といった、根源的に沸き起こる思いだけで研究ができる環境でなくなっています。社会の何に役に立つのか、誰のニーズのためなのか等、仕方のないことかもしれませんが出口志向が非常に求められています。私は、研究者、科学者の皆さんには、可能な限り、社会の何に役に立つ等といった考えだけに囚われない(社会等に役立つことは重要な事であると認識しています)ご自分の自由な発想に基づいた純粋な学術的な問いを追求してもらいたいと願っています。
そうした思いから、ささやかではありますが、岡村賞に寄附をすることで自由な発想での研究活動の励みになるよう支援をしたいと思っています。
私はこのたび、大阪市立大学での職責は、学生とともに卒業しますが、新しい大学、大阪公立大学に幸多かれと心から願っています。
女性研究者支援に寄せて?PDF(折原 真子学術研究支援部長)
◆女性研究者特別賞?奨励賞「岡村賞」へのご寄附について
大阪市立大学 女性研究者支援室長 宮野 道雄
この度、大阪市立大学学術研究支援部長 兼 学務部次長の折原真子様から「岡村賞」へ100万円のご寄附をいただきました。ご趣旨は、優れた研究?教育活動を行い、意欲的に男女共同参画推進に貢献している女性研究者を顕彰する目的をもって平成26年度に創設された「岡村賞」を、令和4年4月に開学する大阪公立大学においても引き続き発展的に実施するために役立ててほしいとのことです。折原部長にはご着任以来、一貫して女性研究者支援への取組に対してお力添えをいただいてきました。文部科学省の事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」実施にあたっては、アメリカのウィスコンシン大学への調査および国際アドバイザー就任依頼等の目的をもった出張の他、シンポジウムでのファシリテーターなどご尽力くださいました。また、学内における事業推進においても教職協働を自ら実践し、大きな貢献をされました。
大阪商科大学卒業生の岡村千恵子様のご寄附によって始められた顕彰制度「岡村賞」は大阪市立大学教育後援会のご支援によって継続され、大阪公立大学でも引き継がれることになっており、今般、折原様から頂いたご寄附を有効に活用させていただきながら女性研究者支援に一層力を尽くして参ります。
折原真子学術研究支援部長の退任に寄せて?PDF
(金澤 真理大阪市立大学副学長からのメッセージ)